日本生殖看護学会が主催する研修会で、不妊症に関わる看護師・助産師向けに認知行動療法の研修を大阪府で行いました。
日本生殖看護学会が主催する関西地区勉強会で認知行動療法についての研修を2019年10月に行いました。学会の報告書が届いたので、報告書とともにレポートをお届けします。
研修の詳細
テーマは
「不妊症看護実践に活かす認知行動療法 〜“こころ”と行動の仕組みを理解して看護を考えよう〜」
詳細チラシはこちら↓
(不妊症看護認定看護師の方々が可愛くチラシを作成してくれました)
会場は大阪府看護協会ナーシングアート
(とてもキレイな会場でした。)
参加者は47名。
不妊症に関わる看護師や助産師、不妊症看護認定看護師、アドバンス助産師、看護大学の教員など、8割以上が10年目以上の臨床経験がある方でした。
(人生の先輩方を前に緊張していました)
実際の研修内容
3時間半の研修の流れ↓
認知行動療法の一般的な説明↓
不妊症の方の“こころ”や行動・反応を見える化した図↓
認知行動療法のイメージ(技法の例など)↓
現場で困るような場面で、医療者自身の感情も大切にしながら、どんな風に対応するかをワークなどを用いて検討しました↓
学会報告書
学会が作成した報告書はこちら↓
認知行動療法や、不妊症患者の心の仕組みについて、感情はコントロールできない事や、行動と関連付け図式化してわかりやすく学ぶことができました。
そして共感についても改めて学びました。
「自身のネガティブな感情もアセスメントに活用できる」というくだりでは、参加者の多くから「ネガティブな感情をもっていいのか、ケアに行かせることに気づいた」との感想を得ました。
参加者の感想
【看護師:40代】
・医療者同士の感情のシェアが、患者のアセスメントにつながる
・自身のコーピングにネガティブを吐き出すことが苦手だと気付いた
・患者の感情を丁寧に細分化することで、スムーズな対応になるのでは
【看護師:50代】
・全ては共感できなくてよいが、なぜ、どうして?と思うこと、
習慣づけることが大事
・まずは自分のことからになりますが、相手を共感する為のスキルを使いながら
探って行くという方法で活かしていきます
【看護師:40代】
・患者さんへのネガティブな感情はそのまま受け止めアセスメントに活かす。
このような場合は医療者側に問題があるのではと考えがちだったので。
・勇気も必要ですが実際に試してみようと思います
・資料を読み返して職場のスタッフと共有したいです
【看護師:40代】
・自分のネガティブな感情もOK
・思考をアセスメントしてもそれがずれることがある
・ストレスコーピングのレパートリーは意外に小さなことでも効果がある
患者さんにも気付かずにやっている人がいそう。
それを意識的にするとしないの差は大きい。
・日々の業務で時間がない中でも認知行動療法のスキルが少しでも実践に活かせそう
・ストレスがたまる職場で働くことが多いので自分にも活かせる
【看護師:40代】
・自分では相手に共感している、できている、と思い込んでいた事
そうでないとワークの中で気づけました
・患者さんにかける言葉が見つからない場合の対応に今後は少し逃げないでいようかと思いました
【助産師:30代】
・看護の基本として傾聴・共感・受容があるが、よく使っている割には共感も自身の考えと相手の考えにズレがあると認識しました
・今までの共感はもしかしたら自分の勝手な判断だったのではと少し反省をしつつ貴重なことに気付けて良かったと思う
・まずは患者さんが言っている事の真意をしっかり観察します
【看護師:50代】
・援助者のネガティブな感情を大切にする
・スタッフの振り返りで吐き出してもらうこと、聞くことはあっても、すぐにひっこめてしまっていた。最後まで吐き出すことが大切だと感じたので実践したい
・勉強したことをスタッフと一緒に考える機会を持ちたい。共有することが大切だと思うので伝えて介入時に活かしていけるようシェアします。
【助産師、教員:50代】
・「共感のズレ」コミュニケーションの基本である共感について、こんなにも人によって差があるのかと驚いた。信頼関係を構築する上でこの点に気づけたことは、とてもこれから役立つと感じます。
・学習など問題を抱える学生への対応に活かせると思います。自分自身の感情に敏感になること
感想は参考になるものばかりで、さらにより良い研修にしていきたいと思います。
学会の研修ということで、開催の半年以上前から研修内容の検討から準備まで協力していただいた不妊症看護認定看護師の山本さん、小野さん、改めてありがとうございました。
今後、認知行動療法の研修、メンタルヘルスに関する研修はオンライン開催も行っていく予定です。
医療者や専門職の研修をオンラインで開催を検討している方がいましたら、ご連絡いただければと思います。